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■デルピエロ

 彼にとっての一番の敵はケガだろうね。筋肉系統のケガがものすごく多い。スプリント系の筋肉だと思うんだけどね。そういう人って結構「切れる」ケースが多い。いつも試合で見たいのに出ていないっていう選手だね。
 ただ、みなさんもご存じの通りデルピエロゾーンとか言われちゃう場所があるぐらい、そこにはまったらみんなボールを取れない。シュートも決める。やっぱり誰よりもうまいっていうのはあるね。そこにスーッているんだよね。「必要な場所でボールを受けることができる」っていうのは意外と見逃されていることだけど、「受けちゃったよ」じゃなくて、「どうして受けられるんだろう」っていう考え方をすると、デルピエロの良さがわかると思うんだよね。たとえば右45度でボールを受けると、彼は中に切り込みながらシュートを打ってしまったり、ラストパスを出してもらったりする選手なんだけど、でもなぜそこで最後受けられるのかっていったら、「そこに最初からいるわけではない」からなんだよ。ちょっと分かりにくい表現だけど(笑)。その一言に尽きる。
 それから、いつのまにかディフェンスの意識を違うところに向けさせておく。あるいはよく言われている、「デルピエロを捕まえようとした人間の目の中から消える」っていうのがたぶんあると思うんだよね。下がってしまったり、逆に中央にいたり、たとえば、たまに逆サイドにいたりとかして、フッと気が付くと、オレは実はここで受けたかったんだよっていうタイミングに、スッとボールが出てくる。つまり一人時間差だね。そういう意味で彼に似ているのかなっていうのには、バッジオだね。受けたいとこにいるだけで、いつどこに動くかが重要だということ。たとえば、相手のディフェンスがバッジオを掴もうとすると、バッジオは「オレはあそこで受けるぞ」ってアピールをずっとやってる。そうするといつのまにかディフェンスは、バッジオはあそこで受けたいんだと感じる。味方もボールを出すに出せない。で、そういう駆け引きをずっとしていて、ディフェンスがスーッと一瞬動いちゃったときにバッジオはピタッと止まるんだよね。そこにポンッてパスが来るの。で、スポンッてボールを受けちゃって(笑)、相手のプランが全部変わっちゃう。そういうのを何回か目の当たりにしたことがあるけども、たぶんたった一人で「自分が受けたいところで受けられる」という駆け引きができる選手だと思うんだよね。
 たとえばロナウドもそう。一番初めの全盛期って言われているときはうまかったね。今はちょっと変わってきたけど。ボールが全然出ないっていうときに、ガーッと動き出すんだよね。そうすると、ボールが出てないのに選手がついてっちゃって、ボールが出て来るときにはディフェンスが後ろを向かされてしまう。スッと止まられてスコーンッてボールが出てきている。そういうボールを受けるときの動きがあるんだけど、こういう動きはボールが出て来ないときにやっているんだよ。「ボールが出てくるときにそこにいたい」ということは、「そのボールが出るわけがないときに、相手に出ると思わせる」んだよ。要は相手を騙してるんだね。それがヤツラのすごさだと思うんだよ。ジダンみたいに幅を持っていたりとか、ちょっと中盤だから、駆け引きの時間が長いとかの違いはあるけど、この人達は相手を騙すことが勝負だから、見ていてすごくおもしろいと思うね。

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