様々なバトルタイプが用意されている本作だが、なかでも注目したいのがドリフトバトルだ。日本のD1グランプリが"競技"としてのドリフトを確立してから、ドリフトブームは世界に飛び火。特にアメリカは早くからD1GPの海外遠征興行が行われ、いま日本を凌ぐ勢いでドリフトがブームになっている。映画『ワイルドスピード』の3作目がドリフトを大きくフィーチャーしたのも記憶に新しいが、現在アメリカ独自のドリフトリーグ"FORMULAD"や"NOPI DRIFT"といった団体も登場して、ドリフトはモータースポーツの一ジャンルとして"クルマ遊び大国"アメリカに定着しようとしている。
そんなドリフトを『NFS』シリーズは過去にもバトルに取り入れてきたが、よりリアル志向となった『プロストリート』では、ドリフトバトルもリアルに作り込んできた。ドリフトバトルでは他のモードと違い、テールスライドしやすい独自の挙動にアレンジされているが、だからといってイージーなモードになっているわけではない。とくに荷重移動はグリップバトルよりも重要な要素で、クルマという重量物の"重さ"や、そこに働いている"慣性"を感じさせる挙動アレンジとなっているのだ。ハンドルを切ったら切っただけ曲がるのではなく、曲げるために荷重をコントロールする作業が必要なドリフトバトルは、最もクルマをコントロールするということを楽しめるバトルでもあるのだ。
ゲーム的なテールスライド挙動でありつつ、荷重移動を意識して仕立てある為、実車さながらのドリフトテクニックを駆使できるのもドリフトバトルの醍醐味だ。
強めのブレーキングでクルマの荷重を前輪側に集中させ、後輪側のグリップ力を弱めてドリフトの体勢に持ち込むテクニック。操舵輪でもある前輪に荷重を掛けることは、ドリフトバトルにおいてもコーナリングの基本テクニックとなる。
ブレーキングを併用せず、急激なステアリング操作のみの姿勢変化で後輪をスライドさせ、ドリフト状態にするテクニック。ドリフトバトルでは基本挙動が後輪が滑りやすい状態なので、自然と慣性ドリフト状態になることも。
本作には何故かLBボタンに"クラッチ"という役割が与えられているのだが、これはドラッグレースで使うのかと思ったらなんとドリフト用のものであった。実車には走行中にクラッチを蹴って回転を瞬間的に上げ、突然駆動力が上がったことで後輪が滑り出すことを利用した"クラッチ蹴り"というテクニックがあるのだが、このLBボタンのクラッチ操作はそれを再現できるのだ。クラッチ蹴りには常に高回転を維持したままドリフトをできるというメリットがあり、速度もスポイルされないので、高速コーナーなどで有効になるだろう。
ドリフトバトルは実際のドリフトイベントと同様に、ドリフトの角度、速度、飛距離がポイントとして計算されスコアとなる。そうした部分もドリフト好きには嬉しい部分だが、最も注目して欲しいのはその音と煙の表現だ。『NFS』シリーズは排気音や吸気音といった、クルマから発せられる音の再現に拘っており、本作でもその仕上がりのレベルは非常に高いのだが、ドリフトバトルではタイヤのスキール音の再現がこれまた素晴らしい。スタート時のホイルスピン、高速コーナーからのドリフト進入、タイトコーナーで角度が付いた時の音など、その時の状態によってスキール音の音質が全て違うのだ。
またドリフトのシズル感を表現するには重要項目となるタイヤスモークの再現も、ここまで拘って作られたビデオゲームは過去に無いと断言できるほど素晴らしい。実際のドリフトイベントでは、それこそスモークでクルマが見えなくなることもあるほどだが、『NFSPS』ではそういうレベルでタイヤスモークを再現。クルマ好きは何に喜び、何に興奮するのか。『NFS』シリーズの制作チームはそういったツボを的確に突き、毎回最高のレースゲームに仕上げているのだ。












