『ニード・フォー・スピード(以下、NFS)』シリーズといえば、最新のカー・カスタムトレンドを反映した先鋭的ゲームとしての認識が高い昨今だが、一方で第一作目の発売は'94年という、実に13年もの歴史があるシリーズタイトルでもある。『NFS I』から『NFS II』のリリース期間は3年ほど空くが、それ以降ほぼ毎年新作タイトルをドロップしており(PC含む)、この10年間毎年新作が出ているレースゲームなど、NFSシリーズをおいて他には無い。
まさにモンスターシリーズと呼べるNFSだが、一貫して"実車によるストリートレース"を追求しているのも重要な部分だ。NFS十数年の歴史の中で、メインのゲームシステムは色々と変化してきたが、このアナーキーにして素晴らしすぎる"実車"&"ストリート"というテーマは、不変のものとしてNFSの地盤をガッチリと固めている。ではここでNFSの歴史を軽くおさらいしておこう。
初期NFSはスーパーカーを使った公道レースという、シビレるテーマを中心に沿えた作品だった。家庭用ゲームマシンが3Dグラフィックを手に入れると同時に誕生したNFSは、その新機能をスピードの狂気を表現することに力を注いでいた。何故狂気なのか。それはNFSが、そのスピードを炸裂させる舞台に一般車も走る公道を選んだからだ。メーカーからライセンスを受け、実名収録されたスーパーカーが、時速300キロで走行中一般車に衝突!
物理計算された車体がハイウェイを横転し続けるというその衝撃的内容は、まさにビデオゲームならではのカタルシスであった。今の目ではグラフィックもフレームレートも、かなりショボく見えるクォリティだが、一般公道で300キロを出すという狂気と緊張感を、最も素晴らしく表現したのは初代NFSである。
物理計算された車体がハイウェイを横転し続けるというその衝撃的内容は、まさにビデオゲームならではのカタルシスであった。今の目ではグラフィックもフレームレートも、かなりショボく見えるクォリティだが、一般公道で300キロを出すという狂気と緊張感を、最も素晴らしく表現したのは初代NFSである。

The Need for Speed(1994)

Need for Speed II
(1997)

Need for Speed II SE
(2000)
NFSはIII以降、よりアナーキーな路線へとシフト。公道レースというテーマから連想される発展的要素として、なんと警察とのチェイスをゲームに盛り込んでしまった。サブタイトルも『Hot Pursuit(熱い追跡!)』となり、ポリスカーとのバトルを巧みにゲーム化。公道レースにポリスチェイスという不謹慎テーマを掲げても、相変わらず収録車種は実車名で登場しており、NFSワールドに対する自動車メーカーの懐のデカさにも感心してしまう。またこうしたポリス要素は、後に『モストウォンテッド』でより発展する事となる。

Need for Speed III Hot Pursuit(1998)
NFSシリーズがその知名度、セールスとも大きく伸ばすきっかけとなったのが、この『Underground(以下、UG)』だ。今までは欧州スーパーカーを中心と車種を収録してきたNFSだったが、ここではナンバリングの続編から外れ、当時北米を中心に大きなブームとなっていたスポーツコンパクトカルチャー(詳細はリンクのコラムを参照)をゲームのメインテーマにフィーチャー。
実車のスポコンブームから時差の無いリリースだった事、まだこの文化をゲームにした作品が無かった事もあって大ヒットを記録した。また『UG』では外観も含むカーカスタムを徹底的にゲーム上で再現。豊富なカスタムパーツを使って、実車同様にマシンをメイキングできる機能は、その後多くのレースゲームに影響を与えた。さらに『UG2』では巨大な都市を自由に移動できるフリーマップシステムを採用。レースをせずにただ街を流す事も出来るという、まさに改造車ライフを再現するような事もゲーム中で可能になった。また実車トレンドに合わせ、スポコン系車種だけでなく、SUVも収録するなど流行の先回りも実現。こうしたセンス部分の軸の確かさから、ゲーム好きだけでなく、多くのクルマ好きも虜にしていった。

Need for SpeedUnderground(2003)

Need for Speed Underground 2(2004)
スポコンブームが一段落した為、『Most Wanted』は『UG』シリーズと『Hot Pursuit』が融合した様な内容で登場。ストリートレースやマシンカスタムといった要素を残しつつ、巨大なシティマップ上で展開する警察との激しいチェイスも追加された。
ストーリー的には『UG2』から続く内容となっているが、収録車種やカスタム内容はやはり実車トレンドに合わせて『UG』より細かく変化しており、スポコンブームを牽引した日本車スポーツカーに加え、スーパーカー的な欧州GTカーやヴィンテージマッスルカー等が収録されている。また久々にポルシェが実車収録される事となった。

Need for Speed Most Wanted(2005)
ストリートでのレースを、チームバトルで行うようになった新機軸のNFS。レースは様々な特殊技能を持つチームメイトと行い、チーム同士のテリトリー争いがシステムの要となっている。また今までになかった"キャニオン"という、いわゆる1対1の峠バトルも追加された。これはゲーム的にも新鮮だが、日本のドリフトブームが北米に伝播し、彼の地でも"峠を走る"という事がポピュラーになったことによるトレンドの反映でもある。
こうしたトレンドの反映は収録車種にも見られ、まずマシンは"チューナー(スポコン系)"、"マッスル(アメリカン・マッスル系)"、"エキゾチック(スーパーカー系)"の3カテゴリーに分けられた。これはゲーム的なカテゴリーでもあるが、カスタムカー世界のトレンドに沿った形でもあり、実車世界の話を巧みにゲームに取り入れるそのフットワークは、感心するほど巧みだ。

Need for Speed Carbon(2006)
またゲーム中に登場するライバルチームも、この3カテゴリーに属するので、ゲーム的に重要な面も持っている。『Most Wanted』の続編として、ストーリーやいくつかのゲームシステムも継続されている。
というわけで、"スーパーカー"→"警察"→"スポコン"とテーマがシフトしてきたNFSは、やがて全ての要素が混じり合い、深みを増すようになった。こうした過去要素のミックス&リビルドが進む中でリリースされる新作『Pro Street』は、果たしてどんな内容なのか。それはサブタイトルが全てを表している。"プロ"にして"ストリート"なのだ。最新作『Pro Street』は、プロの世界であるサーキットレースをメインに展開。NFS伝統の"ストリート感"を出す為に公道サーキットも収録されているが、その闘いの場は今までのNFSから一段抜けた、レースの世界となったのだ。
過去作品のミクスチャー的要素を土台にしてNFSらしさをキープしつつ、新たなテーマにチャレンジした『Pro Street』への興味は尽きない。今後も当コラムで筆者が『Pro Street』の内容をいろいろ解説していくので、是非ご期待頂きたい!




