ドイツ軍の列車砲

連載 第8回列車砲 −上田信
 これは列車に火砲を備えつけたもので、線路の上を移動してある地点に停車、射撃する事ができるものである。
 列車砲は第1次大戦に銃砲兵隊の新兵器として登場しているが、実はアメリカの南北戦争のときに南軍によって使用されたのが始まりだ。しかしその頃のことであるから、前装砲(砲口から弾薬を装填する旧式な砲)や臼砲をただ列車上に載せただけのものだった。
 その後も列車方はあまり進歩が無かったが、鉄道網の発達しているヨーロッパでは、敵の侵攻に備え巨大な銃砲を迅速に展開できる列車砲が大戦勃発と共に各国で装備される様になり、動く要塞として大活躍したのである。
 ドイツでは国内の鉄道網が良く整備されていたので列車砲の運用には最適な環境がすでに出来上がっていた。しかも、当時大砲造りでは世界トップクラスのクルップ社があり、第1次大戦中には各種の列車砲を装備できた。その中でも傑作は史上名高い、パリ砲であった。この砲は 100km 以上という信じられないような遠距離からパリを砲撃して、世界中を驚かせた。
  第1次大戦に敗北したドイツでは、ベルサイユ条約によって列車砲の保有も禁止されていたが、その長射程能力による戦術的価値を重視して、ひそかに研究が進められていた。


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