『対戦車兵器総論』
「陸戦の王者」戦車、現る
時は、第一次世界大戦に戻る。
塹壕戦で膠着した戦線をぶち破る新兵器が必要だった。
双方の陣営は考え抜いた。
しかし、英国軍の考えた、その最終兵器が、『タンク』だった。
英国の港から、次々と覆いを被されて搭載される物資があった。
地元の問いに対して全て、その物資は、
「アフリカ戦線のトブルクに送られる水タンク」
と説明された。
だが、それこそ、敵の諜報網から守り通した秘密兵器だった。
日本語訳、戦車の登場だ。
「戦車」が英語で「タンク」といわれる語源は、ここにあるのだ。
金属装甲板で覆われ、左右を無限軌道=キャタピラで構成される戦車。
機関銃弾は全て装甲板で跳ね返す。塹壕が縦横無尽に走る不整地は、キャタピラで簡単に走破する。
そして、切り札。
戦車の左右前後には機関銃が付いていた。
内部から撃ち捲れるのだ。
味方戦線を出撃したタンクは、敵前線を突破、銃撃を開始する。
移動装甲機関銃陣地だ。
ドイツ戦線は各所で突破された。
同時にそれは歩兵が、装甲車輌と戦わなければならない宿命を背負った瞬間だった。
その二千数百年前。
ローマ軍は、最前線でカルタゴ軍の放った象に徹底的にやられていた。
巨大な象が、装甲を付けて突っ込んでくるのだ。
当時、野戦で最強の集団とされた、ローマ軍の装甲兵でも、蹴散らされた。象対人間では、勝負は決まっている。
ローマ軍はパニックとなり、自滅した。
が、ローマでは、戦場に登場した戦象対策を考えた。
編み出されたのは、簡単な戦法だった。
突っ込んでくる戦象に対して、ローマ軍は戦列を乱さず、真横に移動して、自軍の中に招きこむ。縦深陣である。
真横を通過した時点で、象の尻に槍を打ち込む。そして、油壺を投げかけ、壺が割れ、油が付着した象の背に火を付けた。
象は火に狂い、乗り手の言う事を聞かずに、後方にただ、突進していくだけだった。
戦象を失ったカルタゴ軍は、必殺兵器を失い、焦った。
後は、精強なローマ軍に皆殺しである。
20世紀のドイツ軍はそうはいかなかった。
一度、戦車を通過させてからの、古代ローマ軍の手は使えない。
戦車は機関銃を乱射しているし、その戦車の後には歩兵が続いているのだ。
他の手が必要だった……。
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