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 ブルース・フィアスティンは、3本のジェームズ・ボンド映画(『ワールド・イズ・ノット・イナフ』、『トゥモロー・ネバー・ダイ』、『ゴールデンアイ』)の脚本を執筆または共同執筆した作家だ。フィアスティン氏に、このゲームでの彼の役割や、人気キャラクター、ボンドの脚本執筆について語ってもらう。


フィアスティン氏(以下BF)は、親切にも我々007コミュニケ(以下CQ)のインタビューに応じてくれた。そこで我々は、いくつかの質問をぶつけてみた。

CQ:あなたはこれまで、テレビ、映画、書籍、新聞、雑誌など、さまざまな媒体でさまざまな作品を発表してきました。マルチタレント作家と言っても過言ではないでしょう。特にお気に入りの媒体はありますか? あればその理由もお聞かせください。

BF:どのような媒体にも異なる特徴があり、アイデアを現実のものにするための方法もそれぞれで異なっています。思いついたアイデアが映画に向いていることもありますし、雑誌記事や本に向いているものもあります。私がラッキーなのは、映画と紙媒体の両方で仕事ができるという点です。好みの媒体ですか? 断然、映画ですね。撮影所に足を踏み入れて、自分の書いたものが映画になる過程を目にしてごらんなさい。俳優や大道具係、衣装係や監督が一緒になって、それに命を吹き込もうとしているんです。これほど素晴らしいことはありません。政治や現代文化について自分の意見を述べたい場合は、印刷物(特に『ニューヨーク・オブザーバー』の私のコラム)が即時性の点でもっとも適しています。

CQ:あなたの作家としての才能は持って生まれたものですか? それとも「成長過程で身に付けた」ものなのですか? また、成長過程で書き方が変わったとか進歩したと感じた、いわゆる「ターニングポイント」はいつですか?

BF:気が付いたら作家になっていたという感じです。作家になろうと考えていたわけでもなく、何をするか決めていたわけでもありません。12、3歳のときに、テレビ番組『ドラグネット』のパロディを書いていたことは憶えています。高校時代は、学校新聞の部長を務め広告を書いたりしていました。大学に進む頃まで、マスコミで仕事をしたいと考えるようになりました。ですが、何になるかはっきりと決めていたわけではないんです。大学時代は、ボストンの広告代理店からの依頼で政治広告を書きました(アルバイトですが)。自分がライターだと自覚したのはそのときですね。それからボストン大学の日刊紙でも記事を書きました。大学を出てからは広告業界に入りました。3、4年経ってから、自分で代理店を始めるか、あるいはもっと「クリエイティブな」ものを書こうと決心しました。それで夜脚本を書くようになりました。その脚本が売れたのです。程度はともかく、私の物書きとしての転換点はそのときです。つまり私にとって、作家になるための努力などといったそんな大それたものではなく、単に書きたいものがあったという程度のことなのです。後は、自分の進むべき道を見つけただけです。

CQ:ボンド映画の脚本の仕事は、どのようにして得られたのですか?

BF:『ゴールデンアイ』の場合は、マイケル・フランスとジェフリー・ケインが素晴らしい脚本を書いていました。2人とも素晴らしい作家です。それをバーバラ・ブロッコリ、マイケル・ウィルソン、マーティン・キャンベルが私の所に持ち込んで、私は最終仕上げをやりました。3人は私の作品を読んで、セリフにもう少し「ウィット」を加えてほしいと言いました。最終的に、私の仕事はセリフを書く以上の仕事になりました。とはいえ、ボンド映画の常ですが、この映画の成功は、監督、プロデューサー、キャストの他、あらゆる制作チーム、そして(もちろん)すべての作家によるチームワークのたまものです。また、皆を代表して言いますが、我々の仕事は、イアン・フレミング、カビー・ブロッコリ、リチャード・マイバウム(「ボンド」をヒットさせた脚本家)らの巨匠の他、美術のケン・アダム、作曲家のジョン・バリーとモーリス・ベンダー、監督のテレンス・ヤングとルイス・ギルバートたちの力無しにはありえません。「ボンド」の主題歌にあやかって言えば、「ノーボディ・ディド・イット・ベター」(これほどの仕事は誰にもできなかった)なのです。

CQ:『エブリシング オア ナッシング』(ゲーム)の脚本やプロットは、ボンド映画のものとどのように違っているのですか?

BF:違いは、驚くほどわずかです。本当の「ボンドアドベンチャー」にするためには、ゲームでもボンド映画と同じ基準を満たさなければなりません。つまり、腰をぬかさんばかりのアクション、素晴らしい設定、美女、手強い悪役などが必要です。『エブリシング オア ナッシング』は、これまでに見たところ、これらすべての条件を満たしているようです。

CQ:ハリウッドで脚本の仕事を見つけるにはどうしたら良いですか?

BF:簡単です。脚本を書くことです。資格はそれだけです。単純すぎると思われるかも知れませんが、これは真実なのです。理由は単純で、ハリウッドが能力主義だからです。才能(または才能の片鱗)がある人は、頭角をあらわすものです。とはいえ、たとえ脚本を書いても、スティーブン・スピルバーグやEONプロダクション、それに私のエージェントもそうですが、作品を読んでくれないかも知れません。私にしても、法的な理由で読むことができません。しかし、ハリウッドには、若い人たちがいます(たとえばエージェントのアシスタントや郵便室で働く人たち)。彼らは、出世する唯一の方法は才能を見つけることだということを知っています(そういう仕組みなのです。私のエージェントのアシスタントたちは、常に新しい脚本家を見つけることで昇進を果たしています。どのエージェントでも同じです。映画スタジオの場合もそうです)。脚本が書けたら、それがハリウッドのドアをこじ開ける第一歩になります。もしその脚本のできが良ければ、どこかの誰かがそれを読んで、その良さを理解します(この箇所、つまり「もしできが良ければ」の「もし」は大きな壁ではあります。ほとんどの脚本はできが良くないのです)。明らかなことですが、ここでは非常に単純な概観だけを述べています。たとえば「自分のアイデアを盗まれないようにするにはどうすれば良いか」などといった問題について述べる必要はありません(簡単な回答:人のアイデアを盗むことに魅力を感じる人はほとんどいません。代金をちゃんと支払う方が簡単で安上がりなのです。進んで訴訟に巻き込まれようという奇特な人はいないでしょう。この問題の詳細について知りたければ、www.WGA.orgに行って、脚本登録サービスに関する記述を読むと良いでしょう)。

CQ:あなたは、『トゥモロー・ネバー・ダイ』で、ジョナサン・プライス演じるエリオット・カーバーという悪役の国際メディア王を登場させました。カーバーは、「言葉は新しい武器だ、衛星は新しい大砲だ」と公言しています。この映画は1997年に公開されました。つまり「情報化時代」が始まる頃に脚本を書いたことになります。これは偶然の一致ですか? それとも新しいパラダイムシフトを予見していたのですか?

BF:良い質問です。まとまりのない答えになるかもしれませんが、許してください。悪役のメディア王のアイデアは、『ゴールデンアイ』のときに思いつきました。この映画が公開(1995年)される前の夏でした。ある日曜日の朝、ホテルの部屋で衛星放送のニュースを見ていました。スカイニュース、BBC、CNNを切り替えながら見ていたのですが、中東の報道の違いに驚き、少しぎょっとしました。各局のニュース放送にはそれぞれの放送局ごとに偏向があり、まったく同じ事件でも、異なった悪役や異なった説明が設定されており、得をした人や損をした人について異なった分析が行われていました。私は、1人のジャーナリストとして驚きを隠せませんでした。理想を言えば、ニュースには客観性が必要です。しかし完璧なものはありません。同じ事件を3つの放送局の異なった解釈で見たことが、『トゥモロー・ネバー・ダイ』の始まりでした。

もちろん、この段階からすべてを新しく作り始めたわけではありません。ルパート・マードックやテッド・ターナーなどのメディア王たちと一緒に仕事をしたり、会ったりしました。そのときは、ロバート・マックスウェルは亡くなっており、イタリアのシルビオ・ベルルスコーニは上昇気流に乗っていました。カーバーは、これらのメディア王たちを組み合わせて作り出しました。また、オーソン・ウェルズのチャールズ・フォスター・ケーンやウィリアム・ランドルフ・ハーストも盛り込んでいます。ハーストは、もちろんメディア王の元祖ですが、「とにかく絵を送れ。戦争の方は私が何とかする」と言ったといいます。これは驚愕に値します。

最後に、「情報化時代」についてです。映画では、インターネットで定義されるような、いわゆる「情報化時代」が描かれていましたが、物理的な境界が衛星放送を阻止できないという今日の状況までは予見できませんでした。今や、政府でさえも情報を完全にコントロールできないのです。もちろん1997年の時点で私はオンライン接続しており、インターネットが我々の生活に大変革をもたらすであろうことは認識していました(電子メールアカウントは1993年に初めて取得しています)。それから面白い話があります。『ゴールデンアイ』の最終稿を書いていたとき、ボリスという登場人物(ロシア人のコンピュータ技術者、アラン・カミングの役)が『Wired』マガジンのTシャツを着る設定にしました。映画では、ボリスはこのTシャツを着ていませんでしたが、広告用のスチール写真ではしっかり着ていましたよ。

CQ:小説は、何世紀もの間書かれてきました。よく売れて大勢のファンを集めるものもあれば、消えていくものもあります。作家は、どのようにして小説の世界に人々を引き込むのですか?

BF:ここでは、その道の専門家のような言動は慎みたいと思います。ですが、リアルで、視聴者や読者が共鳴できる登場人物を作ることがすべてではないかと思っています。ある意味で、「ボンド」の成功は、イアン・フレミングとその後を承けたカビー・ブロッコリ、それからボンドを演じたすべてのスターたちが、国のために戦う孤独な男という典型的なキャラクターを完全に作り出したことにあるのではないかと思います。ボンドは、あらゆる文化を超越した古典的なヒーローです。この種のキャラクターは、古代ギリシャにも日本の演劇にも存在しており、永遠のものなのです。

CQ:あなたは、別のインタビューで「ボンド」映画の脚本作成プロセスについて、「そのプロセスはとても長く、終わる頃にはへとへとになりますが、まったく驚くような楽しみが一杯詰まっています」と述べておられました。『エブリシング オア ナッシング』の脚本作成は、どのような点が面白かったですか?

BF:私にとっては、すべてが学習でした。ビデオゲームについていろいろ知りたかったのです。つまり、動作方法、1つに組み上げる方法、この種のエンタテイメントの作成プロセスなどについてです。新しいテクノロジーには、いつも興味を持ちます。これまでの数年間を振り返ってみると、ビデオゲームの市場は、アメリカ映画の市場よりも大きくなっています。その舞台すべてが面白いと感じていましたし、それについていろいろ知ることが重要だとも思っていました(注:脚本家になりたけば、成長を続けると同時に、新しいものやテクノロジーを経験していかなければなりません)(注2:私には双子の子供がいますが、ゆくゆくはこの子どもたちもゲームをプレイすることになるでしょう。そのことを考えれば、ゲームについて知っておいても損にはならないでしょう)。この意味で、EON、MGM、EAがゲームの仕事を依頼してきたことは、私にとって非常にラッキーでした。ゲームのテクノロジー、特に映画では作ることができない種類のアクションや相互作用には驚嘆しました。同時に、このプロジェクトの共同開発プロセスは、私にとって非常に楽しいものでした。EONやMGMと仕事ができて非常に幸運だったといつも感じていたのに、今ではEAの人々までが、私を驚嘆させ、まったく新しいエンタテイメントの世界に導いてくれています。

最後に、もっとも重要なことを言わせてください。何年もの間、数え切れないくらい「ボンド」映画を見てきました。ショーン・コネリーからピアース・ブロスナンに至るまですべてのボンドを見ています。

ですがいつも、最初の例の音楽と銃身を見て、いまだにわくわくするんです。9歳の子供だったときに感じたあの興奮の瞬間、これから何が起こるかという期待に満ちた瞬間です。

面白いのは、オンライン接続して『エブリシング オア ナッシング』の予告編(音楽から、アクション、ピアースの発砲、ボンドガール、ウィレム・デフォーに至るまで)を見たとき、あの同じ感慨が蘇ったことです。ある種驚異的なあのアドベンチャーから得られるスリルは、007以外からは感じ取ることはできません。

CQ:『エブリシング オア ナッシング』でお気に入りの箇所はありますか?

BF:007の脚本を書くときはいつもなのですが、脚本の最後の文章、つまり「007」映画のクレジットの最後に出てくるあの文章、「James Bond Will Return(次回作でお会いしましょう)」を書く瞬間が好きですね。

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