エピローグ (Part 10 of 10)
『というわけで、私の徳の話はすべて語られました。」男が言いました。「これらの逸話に納得いただけたかどうか分かりませんが、それは皆さんの心と精神が決めることです。しかし、私の意見は前より分かっていただけたと思います。」
若い戦士が最初に口を開きました。「あなたの話はとても良くできているわ。心地よい響きすらあるわ。でも、実際の人生とどう関係があるのかしら?賢い吟遊詩人なら、美しい逸話をでっち上げてほとんど何でも言い表すことができるわ。例えそれが、闇が明るく、火が冷たいってことだってよ。」
「あなたは私の話の本質を誤解されています。」男が応えました。「保証します。私の話は作り話ではありません。それぞれの話は実際に起こったことの本当の記録であるばかりでなく、実際にそれが起こった方々から語られたものなのです。しかも、それらの人々の正直さは疑う余地もありません。」
これに対して商人は大声で笑いました。「ああ、友よ。君は我々を本当に単純な奴等と思ってるんだね。あれほど高貴で名誉ある方たちが、君に逸話を語るだなんて。それとも、私達に何か謎解きでも求めているのかい?それなら、答えましょう。君が徳を語るために選んだ人々は最も選び抜かれた人々だよ。私がそれぞれの名前を知らないわけがないだろう。そうだよ、君がこの方達の名誉を疑わないと言うのは間違いないよ!君の上げた人々の名は昔から英雄や手本とされてきた人達だ。とっくの昔に死んでしまった人もいるけど、全員が生きていた頃、彼等はロード・ブリティッシュの名誉ある擁護者達、全員そろえばコンパニオン達だったのだよ。」
すると、商人はしばらくの間、黙ってしまいました。あたかも、一瞬前には単におかしいと思っていたことが、今度はそれを口に出してしまうことが、突然怖くなってしまったかのように。そうして、彼は、焚き火の向こうにいる男のすずしいグレーの瞳を見入ると、今度は前とは全く異なる口調で言いました。
「アバタールのコンパニオン達?」
しかし、男は、彼の口調を無視するように、ただただ微笑むばかりでした。「聞きなさい...雨がついにやみました。まだ、数時間は今日の旅が続けられますね。」それから、彼は立ちあがり、バックパックを肩に乗せ、雨宿りをしていた場所の大きく開いた入り口から足早に旅立っていったのでした。夕暮れに漂う霧の中に彼が消えて行くのを、他の者たちは、一言もしゃべらずにただただ見ているだけでした。
終わり
All Virtue stories written by Chris McCubbin
An Incan Monkey God Studios production
翻訳:エレクトロニック・アーツ・スクウェア株式会社