ケンタウリへの旅
EPISODE 28 パート2:
ディアドラ・スカイはユニティ号の中の重力がわずかに軽く減少するのを感じ、船内の明りがわずかに暗くなるのがわかった。「夕暮れだわ。」彼女はつぶやいて、乗組員の24時間周期のリズムを保つのに必要な、定期的な間隔で船が動いたのを確認した。 彼女は伸びをし、「温室」の着色されたパネルを見やった。 彼女は惑星の、その孤独な無限の空間に息を呑むような存在感を投げかける美しさに身体から力が抜けるのを感じ、魅惑されてしまった。その星達は今や近くにあり、目的の惑星は謎に満ちた光を放って彼女を呼んでいるかのようだった。眠気が襲って来て、彼女は目をそらさずにはいられなかった。
「タラ、私はもう降りるわね。」彼女は直属の部下にそう告げ、彼女の園や小さな森、彼女の緑の世界を抜けて、ホワイトパインの群の次に設定した明るいエリアへと向かった。
彼女はタラ、彼女の忠実な部下であるタラが眠る小さな白い寝台の横を通り過ぎると、その存在を再確認し、ほの暗い仕切りの向こう側へと向かった。彼女は「温室」内の寒暖のパターンを肌で感じながら制服を脱いで滑り落した。松のピリッとする新鮮な香りを嗅ぎ、そのかたわらにある缶の脇で膝をつき、乾いて砂状になった大地に両手を潜らせた。それらはまだユニティ号の構造のほとんどを形作る金属やプラスチックの感触よりもましだった。
彼女の目は輝くサーマルランプの球体を横切った。そして彼女は目を閉じ、光り輝く惑星の球体を映す残像がまぶたの裏に焼きつけれられたのを見ていた。その残像はくだけ散り、ゆらめいて、再び...惑星の形を...彼女は耳の奥でとどろく音を聞いた。その音は風と海の音に似て、それでいて地球の風と海の音とは違っていた。
そしてどこかずっと下の方、とどろく音の下に彼女の白い腕を潜らせて指で堀り進むと、和音の、はかない、しかし歳を重ねた声が...「地球」。そして...「生物」「地球生物」。
彼女はかっと目を見開いた。彼女の心臓が胸の中で踊り、寒気で身体にさざ波が起きたようだった。
「ディアドラ。」彼女は振り向いた。タラが仕切りの所に立って、心配そうに見ていた。「大丈夫ですか?」
彼女はうなずいて立ち上がり、両手から泥をこすり落すと、静かに自分の粗末な寝床へと向かった。彼女は横になると、ユニティ号用の軽量な毛布を引き上げた。「寝ようと思っていたところなの。大丈夫よ。」
「そこのサーマルランプを消しましょうか?士官。」
「いいえ、」ディアドラは言った。その声は鋭かった。「そのままにしておいてちょうだい。」 「承知しました。」タラの歩み去る音が聞こえた。
ディアドラはその光を見つめ、また目を閉じ、彼女の眠りの暗闇の中で惑星の夢が形作られて行った。
船内個人記録
ディアドラ・スカイ、ゼノバイオロジスト
ユニティ号は炎から生まれ、燃え盛る世界から出た火花が空中を横切り、それが着いたところには火が起こる。
その炎は「惑星」で猛威をふるい...我々は「惑星」で猛威をふるい...平和な眺めを一掃し、焼け焦げた皮一枚だけが残るまで燃え盛るであろう。
もしもそうでないとしたら、もちろん、別の争いが生まれるだろう、我々人間中心の宇宙では夢見たことのないような争い。もしくは、見知らぬ宇宙の空の下には「惑星」固有の悪魔が我々を待ちうけていることだろう。